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タクシー産業の分岐点
2023/11/10

タクシー産業の分岐点

推進派、安心・安全より経済優先


 岸田文雄首相は10月23日、召集された臨時国会で所信表明演説(=写真)を行い、その中で、『デジタル行財政改革』として「子育て、教育、介護などの分野でのデジタル技術の活用を、利用者起点で進める」とし、「地域交通の担い手不足や、移動の足の不足といった、深刻な社会問題に対応しつつ、ライドシェアの課題にとりくむ」と述べ、自ら現場で奮闘する各分野の方々の生の声を聞きにいくと視察の意向を示しました。

解禁議論さらに加速か


 今年8月には、菅義偉前首相が「労働者不足」や「色んな観光地で悲鳴が上がっている」などと発言し、「タクシー不足」解決に向けたライドシェア解禁議論に口火を切りました。その発言に呼応し、河野太郎デジタル相や小泉進二郎元環境相、黒岩祐治知事など神奈川県選出の政治家がいっせいにライドシェア導入を喧伝しています。

吉村大阪府知事も
ライドシェアに言及


 そして、10月17日には、吉村洋文知事が大阪府議会で、2025大阪・関西万博に向け来年秋から閉幕時までの「期間限定」で、「ライドシェアを実現させるためプロジェクトチームを来月にも発足させる」と表明しています。
 申し合わせたように推進派が全国各地で「ライドシェアの解禁」に言及し、放送局の一部番組では推進派、慎重派の意見を両論で放送するところもありますが、大半のマスコミは推進派に歩調を合わせ、「ライドシェアは便利で安全、タクシーより運賃が安い」などと実態を検証しないまま偏向報道を続けています。
 こうした動きの中で、岸田首相が所信表明演説でライドシェアに言及したことにより、さらに解禁議論が加速していくことは間違いありません。

労働者は置き去り
同じ過ち繰り返すな


 タクシー産業にとって、今年の臨時国会と来年の通常国会が事実上の分岐点となることが確実です。自交総連は、「タクシー不足」を口実に白タク・ライドシェア解禁への道が開かれようとしていることに強い危機感を抱いており、断固反対の運動を進めていきます。
 安心・安全な地域公共交通としてのタクシーと、それを担う労働者の雇用とくらしを守るために、ライドシェアの危険性をつまびらかに伝えて、国民と利用者を巻き込んだ幅広い闘争の強化を行わなければなりません。
 ライドシェア推進派は安心・安全より経済を最優先し、この機に一気呵成に白タクを国内全域で解禁するつもりです。
 看過していればタクシーの規制緩和が行われた02年当時と同じように、タクシー労働者は置き去りにされ、失政のツケを労働者と利用者が払うことになります。同じ過ちを繰り返してはなりません。