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国土交通省 自家用有償運送 タクシー事業者の直接運営認めぬ方針だが…
2019/07/08

例外的制度なし崩しの危険


 政府は6月21日、成長戦略実行計画(未来投資会議の答申)、経済財政運営と改革の基本方針2019(経済財政諮問会議の答申、いわゆる『骨太の方針』)を閣議決定しました。また、規制改革推進会議の第5次答申(6月6日)にもとづく規制改革実施計画も同日、閣議決定しました。

ライドシェア解禁狙う


 これらの計画・方針では、自家用有償旅客運送を拡大する方針が明記され、2020年通常国会に道路運送法改正案を提出するとされています。
 自家用有償旅客運送とはバス・タクシーのない交通空白地に限って、二種免許を持たない運転者でも自家用車で地域住民を有償運送できる、とする例外的な制度です。この原則をなし崩しにして、どこでも誰でも運送できるように拡大することは、公共交通機関に求められる安全性に重大な問題が生じます。さらに自家用有償旅客運送事業の拡大を求めた政府の諮問機関・ライドシェア推進勢力の真の意図は、ライドシェアの全面解禁にあります。

安心・安全より金儲け

 未来投資会議第24回会議(3月7日)で、竹中平蔵議員は、今年1月のダボス会議(世界経済フォーラム年次総会)で自身と安倍首相がライドシェア大手ウーバーのCEOと昼食会をともにしたことを自慢げに語り、「日本では既得権益者の猛烈な反対でライドシェアによる成長機会を逃してきた」と言及しました。
 そして、自家用有償旅客運送制度の改善は、「突破口として非常に重要なポイントになる」と、その意図をあけすけに述べています。竹中氏に代表されるライドシェア推進論者らは、利用者の「安心・安全」より金儲けのことしか考えていません。
 こうした動機で、自家用有償旅客運送制度を利用することは許されず、ライドシェアへの「突破口」とすることを断固、阻止しなければなりません。

移動権守る補助金増やせ

 規制改革推進会議の答申では自家用有償旅客運送の実施主体について、国土交通省が“タクシー事業者が市町村・NPOから委託を受けて協力するのはいいが直接運営することは認められない”としているため、タクシー事業者が実施主体となれるように引き続き検討を行うべきとされ、国交省に翻意を促しています。
 自家用有償旅客運送の拡大や道路運送法の改悪を阻止し、交通空白地の住民の移動を保障するためには、補助金を大幅に増やして乗合タクシーなどの活用をはかることが大切です。
 現在、「地域公共交通確保維持改善事業」で220億円(2019年度当初予算)が支出されていますが、これはバス路線維持や離島航路への補助などの総額で、乗合タクシーへの支出はその1割程度しかありません。総額も乗合タクシーへの補助も抜本的に拡大すれば、交通空白地でもタクシー事業者が乗合タクシーを運行することができるようになります。
 自交総連は、地域住民の移動を確保し、生活を守るために、地域公共交通であるタクシー・バスの活用をすすめ、それに見合う補助金を抜本的に拡大することを政府・国土交通省につよく求めています。