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〈大阪労連第53回定期大会・討論発言〉
2018/09/18

交通運輸産業の破壊許さない


自交総連大阪地連
松下末宏書記次長


 私たち自交総連は、地域公共交通や雇用を破壊するライドシェア・白タク合法化阻止の運動を繰り広げています。
 「ライドシェア」を訳すると「相乗り」、簡単に言うと燃料代や高速代を割り勘にしたい運転者と、交通費を安くあげたい利用者を仲介するサービスのことで、日本では2007年5月から「のってこ」が中長距離の相乗りを仲介するサービスを開始しています。ネットで「のってこ」について調べると「すっぽかされた」「サービスエリアに置き去りにされた」「運転者が割り勘以外の目的を持っていた」などの事例が散見されます。
 ライドシェアアプリの運営会社は利用者と運転者を仲介するだけで輸送の責任を一切負わず、事故で利用者が亡くなったり後遺症が残ったりしても、運転者が無保険だった場合は泣き寝入りするしかありません。
 収受される金額が実費の範囲内であることから国交省は「道路運送法の枠外だ」として規制せず、法改正に動く兆しすらありませんが、交通手段の自己責任化を放置するのは運輸行政の不作為と言わざるを得ません。
 海外で事実上の白タク運転者と利用者を仲立ちしている「ウーバー」や「リフト」のような「営利型ライドシェア」は日本では道路運送法違反です。海外では事件やトラブルが多発し、タクシー運転者の労働条件悪化を招いたことからイギリス、フランス、ドイツ、韓国など禁止している国や地域も少なくありません。ところが逆に解禁を進めようとしているのが安倍政権と、楽天やソフトバンクなど大手IT企業です。
 楽天・三木谷会長兼社長が代表理事を務める新経済連盟は、これまで政府の規制改革推進会議に向けてライドシェア解禁提案を4回行なっています。楽天はリフトに3億ドル出資し、三木谷氏はリフトの取締役を務めています。国交省は「提案の内容は安全確保、利用者保護等の観点から適切ではない」として「対応不可」との回答を維持していますが先は見通せません。
 新経済連盟は「ライドシェアは好きなときに働ける形態」「働き方革命、一億総活躍社会を実現」などと喧伝していますが、安倍政権の「働き方改革」と軌を一にして労働者から権利を奪うための方便でしかありません。例えばウーバーの運転者は会社の指示通りのサービス提供が求められ、運賃設定に対しても発言権はありませんが、会社は運転者を個人事業主として扱うことで労働者保護法制や社会保険負担から免れています。
 ライドシェア合法化を許せば、安心・安全のためのコストをまじめに負担してきた既存事業者は存続できません。そしてタクシーにとどまらず、バスやトラック産業にも確実に波及します。労働者の権利、安心・安全な交通運輸産業を安倍首相の“お友達”の金儲けのために破壊させてはなりません。