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置き去りの労働環境改善
2016/12/15

特定地域に指定されても月日だけが流れる 誰のための、何のための計画


 第3回大阪市域交通圏タクシー特定地域協議会(会長=安部誠治・関西大学社会安全学部長)が12月2日午後、天王寺区の大阪国際交流センターで開かれました。「特定地域計画案」(一律12%減休車)について大阪府から事前に「持ち帰りたい」との態度表明があり、安部会長は1月31日に開催する第4回協議会で議決したい旨を提案。地域計画については各委員から賛否両論の意見が交わされました。

滑稽な議論も遅々として


 2日、特定地域協議会で「一律12%削減」の特定地域計画を審議するなか、業界内外の委員から賛否両論が出され、結論は1月31日に決定することが決まったものの会議は不完全燃焼と言った感が否めません。
 サービス向上やタクシー労働者の労働環境改善を主たる目的に施行された「改正」タクシー特措法に基づく特定地域に大阪市域交通圏が指定され1年2か月が経過しましたが、これで年内に「特定地域計画」すら定まらないことが決定的になりました。
 この間の適正化小委員会での議論は、「財産」(営業権)を守りたいとするワンコイン協会やMKタクシーなど事業者側のエゴが再々繰り返されてきたため、折り合いがつかない状況が続いていました。当初、大阪タクシー協会も前回実施された減車率の不平等を解消しないと協力できないといったスタンスでしたが、三野文男会長が今回の協議会で「不平等是正は主張しない」と明言しました。

70%を切る実働
乖離する減車率


 そもそも12%の減休車の是非を騒いでいますが、現実の実働率は70%を切っており、車庫で眠っている車を減らすだけの議論で、市場に影響は出ず、滑稽としか言いようがありません。事業者側は「車両が財産、1台100万は下らない」などと豪語しますが、動かすこともできない車両など固定経費がかかる「産物」でしかなく、本来経営の効率化や収支率を考えた場合、「結論」は容易に導き出されるはずなのに、思考が停止していると言わざるを得ません。
 1月31日に「特定地域計画」が合意されたとしても実際に動き出すのは、まだまだ先です。月に80人前後の労働者が業界から去っています。この先実働率がどこまで下がるのか、その副産物で日車営収が上がり続けると、特定地域から準特定地域に格下げされ、その先は増車自由の規制緩和が待ち受けています。
 こうした状況を抱えながら業界外から様々な勢力が虎視眈々と狙い(道運法改正)を定めて攻撃している状況に危機感を持って事にあたらねば、この業界のいく末に未来はありません。