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見識を疑う「日経」の主張…ここまで落ちたか なぜ抗議しない全タク連
2016/07/06

何らかの力が働いている?
違法行為・ブラックを賛美


 5月30日付、日本経済新聞の1面コラム「春秋」(=文末に別掲・全文)で北京に留学した「新世代」の日本人女性の話として、同新聞社が論じた「主張」は、法律がいらないと言っていると同じです。

推進派と同じ論調 安全性は口コミで


 本紙「前号」(1554号1面)で報じましたが、日本経済新聞社が「新世代」の口を借りて白タク容認・ライドシェア推進論を展開しました。社会の木鐸(ぼくたく)であるべき新聞社としての見識が疑われ、ここまで日本のマスコミは落ちたのかと言えます。
 この「主張」をそのまま読むと、安全性は口コミで確認できれば良いのであって、裏を返せば今の「安全規制」や「法律」はいらないと言っているのと同じではないでしょうか。
 左表は海外でのライドシェアの運転者による事件の一覧ですが、これはほんの氷山の一角であって、利用者への恐喝や女性への暴行事件等は後を絶ちません。こうしたことからライドシェアを禁止している国もあり、ILOも警鐘を鳴らし、「ライドシェアに対する国内法規の全面的履行を加盟国に求める決議」をしています。
 日本経済新聞社のおかしな主張に対して、一般社団法人全国 ハイヤー・タクシー連合会(略称=全タク連・富田昌孝会長)が、なぜ抗議しないのか不思議に思います。トヨタとウーバーの提携報道には、富田会長自らが迅速に動き、トヨタの豊田章男社長らと直接懇談し、同社から「国内は対象外」という回答を得たとの業界紙報道があります。
 しかし、今回の日経のみならずこの間の大手新聞社やマスコミ報道は、目に余るものがあり憤懣(ふんまん)やるかたない感情が業界に渦巻いています。
 マスコミに抗議したとの業界紙報道を目にすることもなく、全タク連の大人対応なのか分かりませんが、こうした「主張」を業界が看過していると、とんでもない方向に進むのではないでしょうか。
 日本各地でライドシェア・白タク合法化問題で労使の共同闘争が拡がりを見せていますが、迅速な行動が伴わないのでは、推進派が喜ぶだけです。


■コラム別掲

 (日経原文) 東京から北京に留学していた若い女性から、現地でしばしば利用した非合法サービスの話を聞いたことがある。サービス名は「ヘイチャー」という。漢字で書くと「黒車」となる。正式な許可を持たない闇営業のタクシーを指す。日本風にいうなら「白タク」のことだ。▼白タクには法外な料金など危険なイメージがある。しかし日本人留学生が愛用する黒車の運転手たちは違った。留学生向け共同住宅の周りに待機しており携帯電話ですぐ呼び出せる。簡単な英語や日本語も通じる。信用できる運転手の名は口コミで広がる。価格も高くない。正規のタクシーより使い勝手は上だったそうだ。▼いま米国から世界へ、新手の有料相乗りサービスが広がりつつある。「乗せたい人」と「乗りたい人」がスマートフォンを通じて互いの情報を交換し、マイカーで目的地まで運んでもらうのだ。両者の出会いを仲介する会社の中でも代表格である米ウーバーテクノロジーズは、先ごろ日本でも一部の地域で事業を開始した。▼タクシー会社は「白タク行為だ」と反発するが、トヨタ自動車が米ウーバーへの出資を決めるなど、存在感は強まる一方だ。黒車も相乗りも、根底に「より便利に移動したい」という普通の人々の要求がある。安全性なら口コミをもとに自分たちで確認できれば十分。そんな新世代の価値観をタクシー業界は無視できるのか。