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本流・逆流
2009/10/26

 無謀な運転を行うタクシーが「神風(かみかぜ)タクシー」と呼ばれ、社会問題になっていた時代があった▼モータリゼーションの進行にともない、交通渋滞が頻発するようになった1950年代、歩合給を稼ぐために、速度制限無視、急停車・急発進、信号無視、強引な追い越しなどを行なって早く乗客を拾い、あるいは一刻でも早く目的地につけて回転を上げようと、無謀な運転を行うタクシーが増えた▼これを太平洋戦争末期の無謀・無益な作戦、対空砲火の弾幕をかいくぐって敵艦船に突進した神風特別攻撃隊になぞらえて「神風タクシー」と呼んだ。その命名はだれによるものかは不明だが「週刊新潮」の記事からは、東京に来た外国人がタクシーの疾走ぶりに驚いてそう呼んだ、というのが最初だといわれている▼この主な原因は運転手の固定給の少なさやノルマ制などの労働条件であった。これが社会問題になるとともに、マスコミが騒ぎ、国会でも取り上げられる騒ぎになった▼1958年に、運転手の日雇いやノルマ制の禁止。一乗務の走行距離を350`にするなどの措置がとられ、労働組合なども「神風タクシー撲滅」運動を強化した。その後、東京オリンピック開催が決定されたこともあって国家規模で日本のイメージアップのために交通法規が厳しく運用され、神風タクシーは厳しく摘発されてほぼ姿を消した▼こうして「世界一安全な日本のタクシー」への道を歩き出したのに、02年の規制緩和で時代は逆行してしまった。大幅減車と同一地域・同一運賃の実現を急がなければならなない。(お)