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関越道・ツアーバス46人死傷事故 旅行業界・行政の責任は重大
2012/05/07

改善基準の改正・法制化が急務
都市間ツアー“ワンマン”禁止を


 4月29日未明の関越道・ツアーバス7人死亡事故。規制緩和による競争激化で乗務員の労働条件悪化が進む中、大阪地連・バス部会は「改善基準」の実効性の乏しさ、ツアーバスの発注元である旅行業者の「買いたたき」を指摘し、行政や関係業界に改善を求めてきましたが、恐れていた事故がまたしても起こってしまいました。

片道9時間・夜行を1人運行
値引き競争が招いた過労運転


 マスコミの報道によると、事故を起こしたのは旅行会社「ハーヴェストホールディングス」(大阪府豊中市)が企画、バス会社「陸援隊」(千葉県印西市)が運行を請け負ったツアーバス「ハーヴェストライナー」。28日午後10時10分に金沢市を出発、高岡市でも利用者を乗せ、新宿駅、東京駅を経由して東京ディズニーランド(TDL)に向かう予定でした。料金は3500円です。
 29日午前4時40分頃、群馬県藤岡市の関越自動車道上り線・藤岡ジャンクション付近で道路左側の遮音壁に衝突。利用者45人のうち7人が死亡、運転者を含む39人が重軽傷を負いました。
 現場は緩やかな左カーブで、バスは単独で遮音壁に突っ込み、路面にタイヤ痕はなく、運転者は警察の調べに対し「寝てしまった」と話しています。

大手旅行会社の圧力に屈したワンマン運行規制(670km)

 この運転者は、27日夜〜28日朝にかけてTDL→金沢間を約10時間乗務し、その日の夜に復路に出発する、いわゆる「日帰り」で、しかもワンマンでした。仮に2時間に1回、15分の休憩をとっていたとすれば、運転時間は「改善基準」が定める1日あたり上限の9時間となります。TDL〜金沢間の行程は2つあり、510キロと545キロ。現在の走行距離規制は1日あたり670キロですが、運転時間にせよ、走行距離にせよ現在の規制では安全が守れないことが実証されました。

生理学的な規制必要
人間は機械ではない


 ハーヴェスト社の役員はマスコミの取材に対し「国の運輸基準上の問題はない」との認識を示し、運転者が2時間に15〜30分程度の休憩を取るよう定めた「運行指示書」を交わしていたと説明していますが、指示をしておけばそれで利用者に対する責任を果たしたことになるのでしょうか。利用者には「ハーヴェストライナー」の運行会社、運転者について、情報を知る手段がありません。

旅行業者の横暴加速
バス会社にしわ寄せ


 2000年の規制緩和以降、参入ハードルが下がり白バス営業(無許可)をしていた者まで観光バス業界になだれ込み、中小事業者が急増した事から旅行会社優位の力関係が進みました。
 低価格を実現するために観光バス会社にしわ寄せ(買いたたき)がされ、乗務員の労働条件低下が進む=「安心・安全」が切り売りされ、何も知らない利用者が最終的に被害を受ける──。大阪地連はこう警鐘を鳴らし、この間、国土交通行政に規制強化を求めてきました。
 そうした中、27人もの死傷者を出したあずみの観光バス事故(07年2月)が起こり同年3月、私たちは業界実態を国交省に告発し是正を強く求めましたが、当時の課長補佐は、観光バスの安全確保に「これから講じる」「利用者は安い運賃でいいと思っている。怖いと思ったら乗らなければいい」と強弁する始末で、余りの回答に私たちが抗議すると慌てて「一刻も早く対応する」とした態度でした。

繰り返される“悲劇”
人柱行政を止めろ!!


 大阪地連は09年4月、総務省行政評価局総務課と意見交換し、旅行業者の横暴や労働者の労働環境の実態、またワンマン運行の走行距離規制670キロも隔勤であれば1340キロを容認し、実質無制限につながる旨指摘しました。
 同省も独自に乗務員や事業者への聞き取りを行い、一昨年9月「安全確保を求める勧告」を関係行政に出すなど問題が表面化しました。しかし国交省は迅速に実効性が挙がる施策をとらず今回の事故に至ったと言え、いつまで人柱行政を続けるつもりなのでしょうか。