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あかんカジノ予算 教育・防災に回せ
2018/10/05

あかんカジノ予算 教育・防災に回せ 講演で「カジノ実施法は明らかに違憲」と説く阪南大学・桜田照雄教授

自然災害を受け、いま本当に必要なのは


 「カジノはあかん」「予算はカジノより教育や防災にまわせ」──9月12日に大阪市議会、26日に大阪府議会が開会。カジノ誘致と巨大開発にお金をつぎ込もうとする維新府市政に対して、反対運動を強めようと府民要求連絡会(府民連)と大阪市対策連絡会議(市対連)が28日に大阪市中央区で学習と交流のつどいを開き、カジノ反対運動に取り組んでいる桜田照雄さん(阪南大学教授、会計学・経営学)が講演を行いました。

優先順位違う松井知事


 開会あいさつを行なった杉本和さん(府民連世話人・新婦人の会大阪府本部会長)は大阪府・松井一郎知事について、「台風21号直後の9月7日、災害対策本部も立てないまま沖縄県知事選挙の佐喜真陣営の応援に行き、帰ってきたら今度は9〜16日まで万博の誘致活動で欧州へ、しかも“早期復旧した関空は災害に強い”と言いながら中部空港から出発した」「もっと知事としてやることがあるはず」と指弾。「いま本当に関空や咲洲庁舎(南港WTC)の問題も含めて“万博付きのカジノあかんやろ!”という声を大きく拡げていく時だ」と呼びかけました。

“依存症”で地域の振興

 講演を行なった桜田照雄さんは、松井知事のラジオ番組での発言を紹介し、同知事がカジノ事業者に「1兆円の投資」を期待していると分析し、カジノ実施法=違憲論を次の通り展開しました。
 「“1兆円の投資”とは、世界最大規模のカジノを造るということ」
 「世界最大規模のベネチアン・マカオは粗利(あらり)が年に2800億円。仮にこの規模でカジノ税30%を徴収すると840億円。国と折半するので自治体の取り分は420億円。ベネチアンでの賭け金は年4兆円を超えるので、賭け金の1%が地元に落ちる計算になる」
 「ギャンブル依存症の罹患率(りかんりつ)は1〜3%だと推進派の人は言う。“1%”に注目すると、地元に落ちる金=依存症患者の金。“カジノで地域振興”というのは“依存症で地域振興”ということ。こんな馬鹿げた話がどこにあるのか」

カジノより貧困対策に

 続けて大阪保育運動連絡会、大阪教職員組合、全大阪生活と健康を守る会、大阪府保険医協会、民青大阪府委員会、市民ネットワークの代表がリレートークを行い、各代表は「カジノより教育に」「カジノより医療に」「カジノより防災に」などと訴えました。
 大阪府保険医協会の代表は、大阪府下の小中高校を対象に行われた「学校健診後治療調査」を紹介。回答があった270校・10万人のうち、健康診断で医療機関での受診を通知されても、眼科で2万6千人、耳鼻科で4700人、内科で1800人が未受診だった(16年度)といい、「内科で心臓について要受診となったにも関わらず未受診の生徒がおり、水泳や運動会、マラソン大会の時期は非常に不安という、命に関わる事例もあった」と報告しました。
 そして「松井知事が災害対応を放ったらかして海外に誘致活動に出かけた2025年万博では、“命輝く未来社会のデザイン”というテーマが掲げられている。ギャンブル依存症の危険性を考えると、いったい何のブラックジョークかと思う」「未来を担う子どもの貧困対策や、住民福祉にお金を遣(つか)わずに世界に対していったいどんな都市像を見せるというのか。カジノより子どもの貧困対策、住民福祉の向上にしっかり予算をつけるべき」と訴えました。