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本流逆流(7月15日付コラムより)
2018/07/17

 7月6日、一連のオウム事件の松本智津夫死刑囚ら7人の死刑が執行された。一挙に7人も執行するのはきわめて異例だ。カルト教団の成長過程、テロの動機など、事件再発防止に向けた真相解明の道は閉ざされた。「麻原彰晃」という虚像が神格化し、報復テロも危惧される。
 通常は執行の事後に報道されるものだが今回は事前にリークされ、メディアはリアルタイムで報道した。フジテレビのニュース番組では死刑囚の顔写真が並んだパネルを用意し、執行の情報が入るたびに「執行」と書かれたシールが顔写真に貼られていった。ツイッターには「公開処刑だ」「まるで中世」との批判が渦巻いた。
 オウム事件を追ってきたジャーナリストで参院議員の有田芳生氏の見立てはこうだ。「6日は、カジノ法案と公選法改正案の審議がスタートした日」「どう考えても、タイミングが恣意的」(日刊ゲンダイ)、「戦後最悪のテロ事件の首謀者への刑を執行することで、世間から“毅然とした政権”と受け取られての支持率アップも期待していることでしょう」(ニュースサイト「リテラ」)。
 前日の14時、気象庁が緊急会見を開き、「記録的な大雨となる恐れがある」として厳重な警戒と早めの避難を呼びかけた。にもかかわらずその夜、安倍首相は自民党若手議員の懇親会で上川法務相、小野寺防衛相、吉野復興担当相らと“料亭ごっこ”に興じていた。「赤坂自民亭」の「女将」役を務めたという上川法務相は死刑執行命令書に署名した2日後であり、かつ執行前夜だ。
 安倍首相が非常災害対策本部を設置したのは気象庁の緊急会見から66時間後だった。被害拡大の責任は免れまい。10日、野党は国会休戦を申し入れたが与党はカジノ法案の審議を強行。災害対応の先頭に立つべき石井国交相を6時間も張り付かせた。
 いま安倍政権に対しては救助・復旧活動に全力を挙げろとしか言えないが、権力者による人命軽視、人命利用が断罪される日は必ず来る。